執筆:白米元気
Nvidiaは2026年度第2四半期に467億ドルという驚異的な売上を達成しましたが、その背後にはASIC(アプリケーション固有集積回路)の台頭があり、今後の成長に影響を及ぼす可能性が懸念されています。特にBroadcomなどの競合企業が急速に市場で存在感を高めており、Nvidiaは新たな挑戦に直面している状況です。
2026年度第2四半期の業績とASICの影響について
Nvidiaは2026年度の第2四半期において467億ドルという売上を発表しました。このうちデータセンター部門の売上は411億ドルで、前年同期比で56%もの増加を記録しています。また、第3四半期には540億ドルを見込んでいるとのことですが、この数値には複雑な背景があります。それは、ASICがNvidiaの成長を脅かす要因として浮上しているからです。Bank of Americaのアナリストは、NvidiaのCEOであるジェンセン・フアン氏に対し、ASICがNvidiaのGPU市場シェアを奪う可能性について質問しました。フアン氏はAIインフラ構築には多くの困難が伴い、多くのASICプロジェクトは実際には生産に至らないと反論しています。しかし、その一方でBroadcomは来年度にはAI関連収益が55%から60%成長すると見込んでおり、市場の競争がますます激化していることも事実です。特にGoogleやMeta、Microsoftなどもカスタムシリコンを大規模に展開しており、それぞれ独自の技術戦略を持っています。
競争環境とNvidiaの戦略的優位性について
Nvidiaは新しいASICプロバイダーとの競争において十分な競争力を維持していますが、彼らが直面している課題はこれら競合がどのようにユースケースや性能主張、コストポジションを組み合わせているかという点です。さらに、Broadcomはエコシステムへのロックインを強調しており、この点でも優位性を持っています。また、主要なクラウドプロバイダー全てがカスタムシリコンを採用しており、それぞれ独自のニーズや要件に合わせた設計を行っています。例えば、GoogleはTPU v6をBroadcomとの提携により運用し、Metaは推薦システム用にMTIAチップを開発しています。このような状況下でNvidiaもAIインフラ企業として進化し続けており、そのプラットフォームはAWSやAzure、Google Cloudでも広く利用されています。フアン氏はAIインフラ構築には複数のチップタイプが必要であり、その複雑さこそが競合他社との壁となることも説明しています。
今後の展望とまとめ
Nvidiaは467億ドルという素晴らしい業績を達成しましたが、ASICや他社との競争によってその成長軌道が変化していることも事実です。今後、この競争環境でNvidiaがどのようにその優位性を維持できるかが注目されるポイントとなります。また、技術革新と市場動向によって変わりゆく状況にも柔軟に対応できる企業として、Nvidiaは引き続き注目される存在であることには間違いありません。